魔王に忠義を
そうと決まれば。

早速俺はチェーンソーブレードの修理に取り掛かる。

この程度の破損なら修理は慣れた物だ。

手持ちの工具で、どんどん破損箇所は修復されていく。

「ねぇⅥ番」

アイシャが俺の修理の様子を見ながら声をかけてくる。

「今更だけど、秘密結社って元の仲間でしょ?魔王復活阻止したら、仲間と戦う事になるのよ?いいの?」

「…奴らを仲間だと思った事は一度もない」

ブレードから目を離す事なく俺は言った。

「お互いに利害の一致で共に行動していただけだ。そして最初に俺を捨て石にしたのは秘密結社の方だ。俺が以後も忠誠を誓ってやる理由はない」

それは本心からの言葉だった。

…アイシャの叱咤はもっともな意見だったが、そう簡単に心変わりなどする筈もない。

今でもファイアル、ドーラは滅びてしまえばいいと思っている。

だが今はそれ以前に。

「利用するだけ利用して後は使い捨てか…気に入らんな…」

俺は立ち上がった。

「魔王も秘密結社も、俺が斬り捨てる。異存は?」

「ないない!」

アイシャがニカッと笑った。

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