魔王に忠義を
「ナハト・リアリーですか…ファイアルの『火の玉』と共に汚竜を討伐したドーラの英雄…」

ハニワが言う。

「それにしても惜しむらくは汚竜ですね…我が秘密結社に、フーガ出身の猛獣使い(ビーストテイマー)がいるんですよ…何とか汚竜を手なづけられたら、いい駒になると思ったんですが」

「馬鹿な…あれは人の手に余るものだ…」

呆れたように溜息をつく。

もっとも、呆れるのは俺が所属するこの秘密結社の目的そのものだ。

太古の昔に四英雄、そして六英雄に封じられたという魔王の崇拝、そして魔王の復活。

とんだカルト組織という奴だ。

だが俺には利用価値があった。

こいつらを利用すれば、俺の復讐は果たされる。

ドーラとファイアルの滅亡という大いなる復讐劇も現実味を帯びるのだ。

「カルト組織…そういえばライストでも幾つかの組織のアジトが潰されたんですよ?知っていました?噂によるとファイアル貴族ラグストールの息子の仕業だとか…ガーディアンも捜査に動いているみたいです」

どうもこのハニワは無駄なお喋りが過ぎる。

「…さっさと本題に入れ」

俺は外套下の『得物』に手をかけた。

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