【短】みるくちょこ
私は制服のまま、
家に入ることなく、走り出していた。
どこに向かって走っているのか、
分からない。
でも、家に一人で居たら、
心が痛くてどうにかなりそうだったから。
とにかく、どこかに行きたかった。
走って走って、
普段運動なんて体育以外でしないから、
息も切れて苦しい。
夜の街を走ってると、
目の端々にいろんな人が映る。
客引きのホスト、
酔っ払いのおじさん、化粧のケバイおばさん。
そんな人達を避けながら、
一つの店のドアを押し開いた。
膝に手をつき、息を整える。
「美波?」
低くて、
優しい声が戸惑いの色を含んで振ってきた。
いつもみたいに、またかって感じじゃない。