心 ―ハジマリノウタ―
「あ…こちらこそ、すみません」
リオも私だと分かったのか、
頭を下げる。
ふと下を見ると、ぶつかった拍子に落としたのか、
数枚の紙が落ちていた。
しゃがんでそれを手に取ると、
慌ててリオもかがむ。
「ユア、さん?
あの、大丈夫ですか?」
質問の真意が分からない。
何が大丈夫かと、聞いているのだろうか?
私は、紙をそろえて、
リオに差し出すと口を開いた。
「大丈夫というのは、どういった意味ですか?」
「ありがとうございます。
いえ…さっきの……」
お礼を言うと、リオは笑って見せたが、
レイの人のために、
とはこういう意味なのだろうか?
私は、よく分からなかったが、
リオが紙を大切なもののように持ち直したから、
恐らく正しいのだろう。
「気にしないほうがいいと思います。
ここの人たちはジグの言葉に
左右されやすいですから…」