心 ―ハジマリノウタ―
「悲しい、か…」
再び空を見上げたリヴィアは
呟いた。
吐く息が白い。
リヴィアの息も、私の息も
そのまま
空に紛れて消える。
「そうだね、確かに悲しい。
確かにショックだったし
今でも傷は疼くよ」
しかし、リヴィアは笑った。
私のほうを向くと、
優しく微笑んだのだ。
「でもね、あたしは嬉しいんだ」
「嬉しい…?」
私には分からなかった。
リヴィアの過去は、間違いなく
苦しくて、悲しいもので。
リヴィアに癒えない傷を与えた。
それなのに、何故?