心 ―ハジマリノウタ―
蝋燭を持ち、深く灰色のフードを
被った人がドアの前に座り込んでいた。
主は何の躊躇いも見せず、
その人に近づいていく。
足音に気がついたのか、
その人が顔を上げた。
年老いた顔が露になる。
澱んだ灰色の瞳が主を、
それから私を見比べた。
しわがれた声が、暗闇に響く。
「ここの空は何色だ?」
「この世の空は色を失った。
あなたの瞳にはどう映りますか?」
ためらうことなく主は老人に答えた。
どうやら、合言葉のようだ。