心 ―ハジマリノウタ―
私ははっきりと首を振った。
何を言われても無駄だった。
私は彼らを守るために、心を捨てる。
それが私の望み。
そして、彼らが今も生きているということが
私の希望。
だから、私は近づいてはいけない。
だから、心を持つことも許されない。
「ごめんなさい。
私は心など必要ないと決めたのです。
もしそれが嫌ならば、
どうか追い出さずにドレイと共に働かせて下さい」
頭を下げた私に
フェイクが諦めたように溜め息を吐き、
哀しげな紅い瞳で私を見つめた。
「そんなこと、あるわけないだろ?
ユアには俺の傍にいてもらうよ」
そう言って優しく微笑んだ。
まるで、悲しみを紛らすかのように。
そして、私が来て初めて、
フェイクの部屋の呼び鈴が鳴った。
チリンという可愛らしい音と共に
外から甘い口調の甘い声が響く。
「フェイク?今日は、食事の日よ。
いい加減出て来て、
私に顔をおみせになって?」