波の音がずっと聞こえてる
歩きにくい。
転んだときに、
サンダルは壊れていた。
振り返る。
赤い車は
まだそこにいた。
男は、
男は、
スポーツドリンクをくれた。
一応、
渇きを癒してくれた。
それは、
歩いてきた苦労を
ねぎらってくれたということ。
そのことについて、
感謝はする。
だけど、
サンダルを
くれたわけじゃない。
男は、
わたしが歩くために
背中を押してくれた
わけじゃない。
男は、
飲み物を渡して
車の助手席を貸して
わたしの居場所を作ろうとした。
下心?
どうでもいい。
非常に、どうでもいい。
あの男が
わたしに求めること、
わたしに与えたもの、
わたしの目的と
まったく合ってなかった。
それだけだ。
居場所を求めてるわけじゃない、
男はそのことに
気づかない。
気づけない。
スポーツドリンクも
助手席も
わたしを縛り付けるもの。
わたしは
これから歩いていくことを
決めたのだし、
実際に、目的地まで、
歩いていけることも決まっている。
安住の地を提示する
男が馬鹿だとは思わない。
気持ち悪いとも思わない。
ただ、そういうものなのだと
わたしが理解する、
それだけだ。
たぶん、男とは、
そういうものだ。
安定したがっている相手に
安定した居場所を
作ってやることが
義務付けられている
役割なのだ。
男は役割。
役割でしかない。
ただ、
あの男が用意した居場所は、
わたしの希望とは
合わなかった。
だから、
壊れたサンダルを捨てる。
裸足になる。
わたしの居場所は
この道の上にしかない。
わたしがいちばん安定するのは
どの屋根の下でもない。
いまの状態が
わたしのベストなんだ。
きっと、男は、
車のガラス越しに、
わたしを見ている。
サンダルを捨てる姿を見ている。
だから、
男は、
車をUターンさせた。
わたしの視界から
赤い車が消える。
これでいい。
わたしはそう感じる。
わたしが関わることで、
世の中は何も変わらない。
そのことに無力さを感じない。
あるべき風景が、
そこにあるだけなんだ。
転んだときに、
サンダルは壊れていた。
振り返る。
赤い車は
まだそこにいた。
男は、
男は、
スポーツドリンクをくれた。
一応、
渇きを癒してくれた。
それは、
歩いてきた苦労を
ねぎらってくれたということ。
そのことについて、
感謝はする。
だけど、
サンダルを
くれたわけじゃない。
男は、
わたしが歩くために
背中を押してくれた
わけじゃない。
男は、
飲み物を渡して
車の助手席を貸して
わたしの居場所を作ろうとした。
下心?
どうでもいい。
非常に、どうでもいい。
あの男が
わたしに求めること、
わたしに与えたもの、
わたしの目的と
まったく合ってなかった。
それだけだ。
居場所を求めてるわけじゃない、
男はそのことに
気づかない。
気づけない。
スポーツドリンクも
助手席も
わたしを縛り付けるもの。
わたしは
これから歩いていくことを
決めたのだし、
実際に、目的地まで、
歩いていけることも決まっている。
安住の地を提示する
男が馬鹿だとは思わない。
気持ち悪いとも思わない。
ただ、そういうものなのだと
わたしが理解する、
それだけだ。
たぶん、男とは、
そういうものだ。
安定したがっている相手に
安定した居場所を
作ってやることが
義務付けられている
役割なのだ。
男は役割。
役割でしかない。
ただ、
あの男が用意した居場所は、
わたしの希望とは
合わなかった。
だから、
壊れたサンダルを捨てる。
裸足になる。
わたしの居場所は
この道の上にしかない。
わたしがいちばん安定するのは
どの屋根の下でもない。
いまの状態が
わたしのベストなんだ。
きっと、男は、
車のガラス越しに、
わたしを見ている。
サンダルを捨てる姿を見ている。
だから、
男は、
車をUターンさせた。
わたしの視界から
赤い車が消える。
これでいい。
わたしはそう感じる。
わたしが関わることで、
世の中は何も変わらない。
そのことに無力さを感じない。
あるべき風景が、
そこにあるだけなんだ。


