幸せの契約
「鈴様…。」


突然犬居さんが真剣な顔で私の前に跪いた

「何してるんですか?!」

驚く私を無視して犬居さんは続ける


「先ほどは申し訳ありませんでした。執事として出すぎたことをしてしまって…誠に申し訳ありませんでした。」


深く下げた頭は
床にめり込む勢いだった


私はただただ戸惑うばかり

「止めてください。
そんなことっ!」


犬居さんの肩を起こそうと力一杯押してもビクともしない


「このままでは、私の気持ちが静まりません。」


そう言って頑なに頭を下げ続ける



私の気持ちって…

どうすれば
犬居さんは頭を上げてくれるんだろう…



「私は別に犬居さんに怒ってませんよ?
むしろ…」



言葉に詰まってしまう


あなたの言葉や態度の一つ一つに心が張り裂けそうな位なんだ…―



この気持ち


そのまま伝えたら


あなたはどうしますか?
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