Sweet Kissとラブカプチーノ【LOVEドロップス企画参加作品】
大分前からずっと大切に楽しみにしてきたこの日。
やっぱり、こんなふうに終わらせるわけにはいかない。
とりあえず、仲直りだけはしなきゃ……そう思ってここに来たものの……中に入りずらい。
店の入り口付近で、何人ものお客さんを迎え入れて見送って……でも、アタシには入る勇気すらない。
ドアが開くたびに温かい明かりが漏れ、コーヒーのいい香りが店内へ誘う。
雨の寒さに体も冷えてきたし、勇気を出して入ろうかな。
でも……。
店の前で悩んでいると、後ろから声をかけられた。
「梓ちゃん?」
「あ、カズさん……」
声に振り向くと、バリスタのカズさんがそこに立っていた。
カウンターにいるカズさんとはまた違う雰囲気で、カズさんの隣には小柄な女の人もいた。
彼女かなぁ……。
「何してんの? 入んねーの? 柊二いるでしょ?」
「あ、うん……」
悩んでるなんて気づかれたくなくて傘で顔を隠す。