職場内恋愛
「おいしいですね、この料理」
出てきた魚を一口。
奈々は顔をほころばせ言う。
どうやらさっきのは俺の気のせいのようだ。
ここに入ってから奈々はずっと楽しそうに笑っている。
とても悲しそうな顔をするようには見えない。
「優作さん、今度これよりおいしい料理、作って下さいね」
奈々は俺に向け満面の笑みを浮かべる。
『それはいくらなんでも無理だろ~
俺は素人。相手はプロ。
勝ち目ないな~』
俺はアハハと笑う。
でも、奈々のためならこの料理よりうまい料理、作ってやるよ。
とてつもなく、穏やかな時間だった。
とてつもなく、幸せな時間だった。
でも…これは夢に過ぎなかったのかもしれない。
終わりは、もうすぐそこまで来ていた。
そんなことに俺は気づくはずもなく、浮かれていたんだ。
この時間も、キミを苦しめていたのかな。
奈々…