職場内恋愛






「優作さんには、はっきりとした理由…言ってないんだ。

別れようって。

辛い想い出より楽しい想い出のほうがいいから別れよう、ってそれだけ伝えた。



優作さん…何も言わなかった。

私が車を降りても追いかけてくれなかった。


なんでだろうね。

自分から別れようって言ったのに…すごく、悲しかった。


なんで別れたくない、って言ってくれないの?って。

なんで追いかけてくれないの?って…思っちゃって。


涙は出てくるし、自分が嫌いになったよ。


真…好きなのに別れる、ってこんなにも辛いんだね」


昨日のことを思い返すうちに涙が溢れていた。


なんで真の前だと素でいられるんだろう。

生徒なのに、なんで真の前だと素直に泣けるんだろう。




「奈々ちゃん。

すごく、好きだったんだね。藤堂先生のこと。


いつか…未練が思い出に変わるまで頑張ろう。

今はまだ、辛いかもしれない。苦しいかもしれない。


でも…頑張ろう。


必ず、思い出にできるよ、藤堂先生のこと」


真はそう言って微笑んだ。







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