職場内恋愛
『どういうこと?真』
俺より先に涼が聞く。
「あたし、知ってたんだ。
奈々ちゃんが…先生と別れようとしてること」
京地は俯きながら呟く。
そうか。そうだったのか。
だから京地は昨日、あんなことを言ったんだ。
「頑張れ」とか「負けないで」とか。
アイツは、全部…知っていたんだ。
「あたし、知ってたのに…止められなかった。
奈々ちゃんの好きなようにすればいい、
って…そんな、無責任なこと言っちゃったんだ。
もしあたしがあのとき奈々ちゃんを止められていたら、先生は…そんなに悲しまなくてすんだかもしれない。」
俯いている京地に俺は近づく。
そして、京地の頭の上に手を置いた。
『気にすんな。
お前のせいなんかじゃない。
奈々が別れようと思ったのはきっと、俺のせいなんだ』
京地は俺の手の下で頭を横に振る。
「違う。違うよ…」