職場内恋愛
「先生のせいじゃない。
奈々ちゃんが別れようと思ったのは…先生のせいじゃないよ。
だから…頑張ってよ。
絶対、奈々ちゃんのこと…諦めないであげて…」
京地の声はか細く、いつもの腹黒京地ではなかった。
『ん。分かった。
奈々のこと、諦めないよ。
だから…んな声、出すなよ』
俺の言葉にパッと顔を上げる京地。
なぜか顔はニヤついていて。
「今、言ったよね?
諦めない、って。
その言葉…忘れないでね。
あたしはずっと、覚えてるからね」
じゃ、と言って京地は秘密の場所を出て行った。
『真…さすがだな』
涼はそう言って笑い出す。
やっぱり腹黒京地は腹黒京地のままだった。