職場内恋愛

「そんな顔、しないでください。

知ってましたよ、私は」


山崎先生は入ってくるなりそう言って微笑んだ。




「伊藤先生に彼女ができたことは、気づいていました。

でも、根拠はなくてもしかしたら…ってキモチだったんです。


でも…やっぱり、いたんですね」


はぁ～と、山崎先生は息を漏らした。




『………いいんですか』


俺の声に山崎先生は悲しそうに答える。




「仕方ありませんよ。

私がどうにかできることではありませんから。


私にできることは…伊藤先生が幸せでいてくれることを願うことくらいです」



『俺には…できそうもないです』


山崎先生は笑う。



「私にだってできるか分かりませんよ。

だって…別れてくれればいいのに、ってキモチ…捨てられませんもん」