職場内恋愛
『……………奈々?』
病室から出てきた奈々は俯いていて。
顔をのぞき込む。
『なんか…あったのか?』
奈々の目は真っ赤で。
泣いたあとのようだった。
「なんでも…なんでもないです」
奈々はそう言って廊下を走っていく。
『待て、優作』
追いかけようとした俺の腕をつかむ涼。
『1人にしてやれ。
今、お前が奈々ちゃんにしてやれることは…何もない。』
涼の目は悲しげで。
そんな目して…何が、あったんだ?
『なんで決めつけんだよ。
俺がなんにもできない、って。』
涼は俺の目を見つめていたが顔を逸らした。
『もう帰れ。
奈々ちゃんが戻ってきたら帰れ。
んで、もう…美優のこと忘れろ。
罪悪感なんて感じなくていい。
奈々ちゃんだけを愛してやれ。
もう手を離すな。』
涼は俺の肩を叩くと美優の病室に入って行った…