職場内恋愛

「藤堂先生って」


すれ違う生徒達、全員が全員、笑顔で。


俺もガキん頃はあんなんだったのかなぁ…

なんて一人、耽っていると山崎先生と目が合う。



「クールなのに、思ってること、顔に出ちゃうタイプですよね」


クスッと笑いながら山崎先生は言う。


え?

思ってること顔に出ちゃうタイプ?


まさか。

俺に限ってそんなことはない…はずだ。



「今、絶対それはないって思ったでしょ?」


え?と聞き返した俺を笑う山崎先生。


うわっ…今のも顔に出てた、ってことか?

だとしたら俺、相当分かりやすいヤツじゃないか。



「ちなみに、橋野先生もそう。

彼女もすぐに思ってることが顔に出る」


なんで今、奈々のことが話に出るんだよ。


「そんな目で見ないでくださいよ。

ただ２人は似てるってことが言いたかっただけですから」


視線が鋭くなっていたのか山崎先生は苦笑い。



『俺と、奈々が似てる…?』


どこがだ?

自分自身じゃよく分からない。