職場内恋愛
「似てますよ、お二人は。
そうやって、顔に出ちゃうようなところも、
お互いを思い過ぎちゃうところも、
自分より他人を大事にしちゃうところも。」
山崎先生は柔らかい笑顔で笑う。
「ね?そっくりでしょ?」
そう言いながら。
何も、言葉が出なかった。
山崎先生の言う通りかもしれないと思ったからだ。
奈々。
もしかしたら俺たちは似すぎているせいで、こんなふうにすれ違っているのかもしれない。
お互いが、自分よりも大切で。
壊したくなくて。
だから、こうやって辛い想いをしなくてはいけないのかもしれないな。
『山崎先生。
あれ、乗りましょう』
躊躇う山崎先生を無理矢理引っ張って俺たちはこのテーマパークで1番怖いと言われているジェットコースターの列に並んだ。
頭をスッキリさせたかった。
まだあと、1日あるんだ。
修学旅行は。
余分なことは考えず、今に集中しなくては。
そのためにもキモチを切り替えたかった。
何か、スカッとするようなことでも起きないとそれはできない。
すみません、山崎先生。
俺のためにちょっとばかり、付き合ってください。