職場内恋愛
「じゃあ、頑張ってくるね、せんせ」
そしてあれから1ヶ月が過ぎた頃、俺に手を差し出すのは
『頑張れよ、腹黒京地』
京地真だ。
「腹黒、は余計なんだけど」
『腹黒いから仕方ないだろ。
そろそろ自覚を持て』
「うるさいよ、センセー
黙ってればいい男なのに」
『お前こそ黙ってれば少しは女の子に見えるぞ』
「黙ってなくても女の子です!」
入試前日だというのにこのリラックス感。
さすが京地だ、とでも言えばいいのだろうか。
『まあお前なら受かるよ。
実力はあるし、何よりお前の1番の理解者がついてる』
『そうだよ、真。
センセーが言う通り、俺がずっと応援しててやるから』
そう言うのは見事、志望校に受かった京地の元カレの相原だ。
「そうだね。
じゃあ、また明後日に」
京地はそう言って先に教室を出て行った。
『センセ、俺、真が志望校に受かったらもう1度、やり直そうって言うね』
相原が独り言のように呟く。
『遠距離になるぞ?
それでもいいのか?』
『うん、いい。
それより先生は人のこと言える?
センセーだって遠距離だよ、春から』
…………………え?