憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)
「ただいま~ って・・・」

リビングに我が物顔で座っている父親と、なぜかウロウロしている母親

開けたドアノブを持ったまま固まるココ

「お~ おかえり」

賢次だけがいつも通りだ

「ココ~ 賢次に車買って貰ったんだって?」

ココを見るなり、ニヤっと笑う潤也

「久しぶりに会う娘に対しての一言目がソレ?」

固まっていたココは、リビングに入り、潤也の隣にポスッと腰を下ろした

「ココ・・ 運転の仕方知ってるの?」

「は? ママ・・ 何言ってるの? 」

姫花の思考はそこから動いていない

最初はソファに座ったココもテーブルに並べられている久しぶりの姫花の料理に、カーペットに直に座り、食べ始めた

三人はそんなココの様子を見て、頬を緩める

最初は落ち着きの無かった姫花も、そんなココを見て、やっと落ちついたようで、潤也の隣に座った

「で、いつまで居られるの?」

ココから潤也に視線を移す賢次

「明日の便」

潤也のそこ声に

「え~ 早いって せっかく来たんだし、ゆっくりしていこうよ・・ マロンのお店にも寄ってさ~」

と潤也の応えに反論するのは姫花

「マロンって・・Seallleかよ・・ つーか無理だって・・ 日付変更線跨ぐし、スケジュール、キッチキチなんだって・・」

と潤也

「それは潤也だけでしょ? 私は平気だもん」

「だもんって・・ お前今年いくつ?」

「はぁ! 何その言い方~」

「ったく、お前ら本当成長ねぇな・・」

潤也と姫花のやり取りをみて、ため息をつく賢次に

「賢ちゃんも大変ね~ こんなのと腐れ縁で~」

と笑うココ

「そういうココの遺伝子は全てこのふたりから貰ってるからな~」

と賢次はココの頭をくしゃくしゃと撫でたのだった

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