幼かったあの頃
次の日の掃除時間。

私は雑巾担当になった。先生が自分達で箒と雑巾を決めていいって言ってたけど、どうやら早い者勝ちで2人が箒らしい…。

雑巾あんまり好きじゃないなぁ…と思いながらもちゃんと掃除をしていた。

今日は昨日の優しい男の子と会ってない…。階が違うのかぁ。

そう思っていたら残り3分の1って所でその子が上から下りてきた。

「上は2人で雑巾してたからもう終わったよ。手伝おっか?」

「えっ、でも…」

「僕はここから拭くね。」

「…うん。でも、いいの?」

「だって1人だと大変じゃん。2人だとすぐに終わるしね。」

彼は笑顔を向けてそのまま拭き掃除に取りかかった。

「ありがとう…。」

聞こえるかどうか分からないくらいの声だったのに彼は「うん。」って言った。

終わってから「一緒に雑巾洗いに行こう」と誘われ歩いていると、

「あっ、七海チャン!!」

後ろから名前を呼ばれた。

「朱里チャンも雑巾だったの!?」

「うん。私が来た時にはもう箒なくなってたから。明日は早く来ないと!!」

「私も箒の方がいいから早く来よっかな。」

「そういえば…たっくんだよね、同じクラスの。」

「あっ、うん。僕、拓哉。よろしくね。」

「私、朱里。んで、こっちが七海チャン。」

「七海です。拓哉クン…」

「僕のことたっくんってみんな呼んでるからたっくんでいいよ。」

「じゃあ、たっくん…よろしくね。」

「うん。七海チャンよろしく。あっ、早く教室戻らないと!!」

「ほんとだ、七海チャン急ごっ!!」

「えっ、2人とも待ってよぉ〜。」

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