胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
【卓弥】愛しい人
【卓弥】



何度呼んでも

振り返ってはくれなかった。



愛しい人が俺の前から去っていく姿は

とても

悲しかった。


俺の声は届かず

俺の犯した罪は

取り返しのつかないものだったんだと気付く。




俺はたった一人のラブホテルの部屋の片隅で

大声を出して

泣いた。



泣いても泣いても涙が出て、そのうち疲れてのどが渇いた。


俺は、力なく体を起こし、立ち上がる。



まだゆかりの匂いがした。


さっきまでゆかりの寝ていたベッドは

まだほんのり温かい。



着替えようとして、自分のシャツがないことに気付く。


俺は、下着を着ないでトレーナーを着る。


ふとんや、ベッドの下を探したが見つからなかった。



もうそんなことどうでもいいや…



その時、手に絡み付いてきたのは


真っ白なゆかりのキャミソール。



俺は、また涙が溢れた。



あいつ…


バカだなぁ…




あんなに慌てて出て行くから…


俺のシャツと…間違えたんだな…




俺は、嬉しかった。



手元に残ったゆかりの服を抱きしめる。



ゆかりも俺の服を持っているってことが


まだ俺達をつなぐものがあると信じさせてくれた。




頼むよ…


間違えちゃった…って笑顔でここに戻ってこいよ。


頼むから…

 


また俺に微笑みかけてくれ…
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