すき、好き、もっとスキ。


「ちょ、離して下……」

「ここ」



必死に掴まれた腕を振り払うあたしに聞こえてきた言葉に、店員さんをみあげた。


店員さんは、ひとつのお店を指差しながら『ここ』って言ってて。

そこにはお洒落なお店があって。


あたしは、思わず首を傾げる。



「だから、その店ここだけど?」



顎であたしの手にある携帯を指し、再びお店を指差す。

そこには、さき先輩がメールしてくれたお店の名前がかかれていて。



「あー、本当だ! すみません、ありがとうございます!」



あたしが気付いた時には、掴まれていた腕は離れていて。

呆れ顔を見せた、店員さんは



「……やっぱバカだな」



そう呟くと、その、あたしが探していたお店へと入っていってしまった。

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