すき、好き、もっとスキ。



はぁーっと息を吐き、自分自身を落ち着かせた。

梢が、こういう性格なんは元からやったんや。



「お前、俺の学校のガイドしてんか?」



うん、と小さく頷く梢。



「何で言わへんかってん?」



普通は言うやろ。

ちょこちょこ電話してんやから。

隠してたんか?

俺を驚かせようと思って。


でも梢って、そういうの隠されへんタイプやったのになぁ。



「あ、それがね。あたしも今日の朝、知ったんだー」

「は? 急に決まったんか?」

「ううん。前から決まってたんだけど、ちゃんと資料読んでなくてね…」

「信じられへん……」



ほんま信じられへん、コイツ。


そんな大事な部分を読んでへんとか……。

まぁ、そうやろな。

だって梢やねんから。


隠すんが下手な奴は、すぐ顔に出るっていうけど。

梢の場合、顔どころかまず声に出る。

それに俺が気づけへんわけないか。



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