気づけば、あなたが
杏は熱が下がったものの、まだ体調がいまいちだった。


部屋から出て来たがまだパジャマのままだ。


「今日はどうするの?」


「どうしようかな・・・どうせ授業もないし休んじゃおうか」


杏は昨日の事で、陽介と顔を合わせたくなかった



「でも陽介君にお礼言わなくていいの?」

「うーん・・・何か改めて言うのも照れるじゃん」


「でもさ、杏の事見捨てないで待っててくれたなんて、ちょっとドラマっぽい感じするでしょー」



母親はニコニコ顔で言った。


「ハイハイ、お母さんの妄想が始まったから退散するわ」


杏は立ち上がった。


「ゴメン! ホントまだボーっとしてるから休む」


そう言った後、母親は、少しよろけながら歩く娘の姿を見つめため息をついた。


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