相合傘

本当の俺




今から一週間前。
お隣さんが引っ越してきました。

その人は俺が初対面だったにも関わらず、行き成り傘貸して~と言ってきたり、帰り道が分からないと言ってみたり。

次の日にはその人のインターホンの乱鳴によって、目覚まし時計よりも早くに起こされました。そして俺の部屋に上がり込んできたかと思えば、朝御飯作って~と言ってきました。
俺は仕方なく、いつもの倍、二人分の御飯を作りました。

そして、人の部屋を見回して文句をつけたその人は、バイトがクビになったといいました。
そんなの、俺には全く関係ない。

そう思っていた俺が、



……大きな間違いでした。



「ショウ~、この花何処おけばいいかな?」
「それは店頭の中央、あ、その白いバラは店内に置けよ!」
「あれ?外じゃなかったっけ?」
「店長の話ちゃんと聞け!!」

それからというものの、俺達が顔を合わせない日は全くない。
あの日から、何故か毎日毎日、アキちゃんは朝御飯と晩御飯までうちに食べに来る。
おかげでこの一週間だけで、食費は二週間分。
食いに来るなら、せめて食費出せっ!!

だから俺、アキちゃんといて結構疲れてるんだよなぁ…。

大学に行っている時はさ、本当に天国にいる気分だ。
あんな五月蝿い子がいないって、どんなに幸せなことか、思い知らされるよ。

「ショウー、百合、百合はどこ~?」
「……」

まさか同じところで働かれるとは、全く思っていなかったから、バイト先まで話してしまったことに…、後悔している。
いや、そこまで考えれる方が凄いと思うけど…、これからは、しっかり先の先を読んだうえで物事を言わないと、行動しないと、

いつか今以上に後悔することになりそうだ…。


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