相合傘
アキちゃんはバイトがクビになったって言っていたけど、別に俺には何の関係もねぇ。
そういう事は、自分でどうにかしてもらわないと。
この時は、そう思っていた。
自分の状況を、俺に話されても俺は何か出来るってわけじゃねぇからと。
だが、次の日のバイト。
俺は目を疑った。
バイトの花屋の店頭に立って客を呼び込んでいる、ムカつくくらい背の高い女。
くるりとこちらの方を向いて、笑顔を向けてきた。
…な、何故?
「今日からここでバイトすることにしたんだ!」
「……」
「時給いいし、ショウがいるし」
「…何で俺?」
「御飯美味しいし、良いお友達になれそうだから」
にこにこと笑うその顔は、太陽を直に見た様に途轍もなく眩しく見えた。
…良い、お友達ですか。
俺はそういう風に、全く全然これっぽっちも思えないんだけど…。
俺は今、その眩しい笑顔とは反対に、ぐったりとした暗い顔をしているのだろう。