君だけに夢をもう一度
敦子は、バラードといっても、どんな、おちゃらけな歌になっているのか興味深く聞いてみた。

いきなりハーモニーから始まった。

今度は、少しメロディーが違うと、敦子は思った。

あの芸人がまじめに歌っている。
しかも、ちゃんと何を言っているのかもわかる。

敦子は、『ザ・ベストテン』で初めて聞いた時とは違う感覚だった。

サビの部分では、敦子の心の中までメロデイーが入ってくる感じがした。

「いい歌だな・・・・・・」
曲が終わった後、父親が、ぽつりと言った。

めったに歌謡曲など聞かない父親が、この歌を聞いてめずらしく素直に誉めた。

敦子も父親が言うとおり、いい歌だと素直に思った。

この歌には、不思議な魔法みたいなものがあるのだろうか。
聞き終わった後に 何か、もう一度聞いてみたいという魅力を誘う。
荒々しく聞こえてくる歌声が、妙に敦子の心をなごませるものがあった。


パーソナリティーが言っていたとおり、この歌を作ったあの芸人は、すごい人じゃないかと思えてきた。

あの桑田という人物を芸人ではなく、本物の歌手なんだと思った。




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