君だけに夢をもう一度
それから、すぐに敦子は、その歌を聞きたくなって『いとしのエリー』のシングルレコードを買った。

敦子が自分のお小遣いで買った、初めてのレコードだった。

『いとしのエリー』は、ヒットチャートをかけのぼり、よく耳にするようになった。

同時にサザンオールスターズに対して世間の目が変わった。

それは敦子も同じだった。

彼らの音楽は、おちゃらけな歌もシリアスなバラードも、計算された完成度が高い楽曲だと思うようになった。

そんな彼らをテレビで見ていると、自分に音楽の楽しさを感じさせてくれた彼らが格好良く思うようになった。

やがて、自分もあんなふうに演奏してみたい気持ちが誘った。

その後、いつも敦子が成長してゆく中でサザンの音楽があった。

受験勉強でがんばっていた時、初恋の彼とつき合った時、失恋で涙した時、思い出とともにサザンのメロディーがある。

いつもサザンの音楽が、敦子の心を潤してくれた。





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