君だけに夢をもう一度

Dear John

車は、首都高速道路5号線を走らせて、飯田橋インターの料金所に向かった。
車窓から、東京ドームが見えてきた。

今夜は、野球のナイトゲームがあるらしく、ドーム周辺には照明が輝いている。

正和は、久しぶりに東京の街を見る。

立体的に並ぶ建物が無駄なく作られた感じがする。
その狭い空間の中を人が、アリのように生きている。
そう思うと、何か息苦しいものを感じさせる。


料金所付近では、渋滞で車もゆっくり走るようになった。

「もう、秋だね・・・・・・」
敦子が、車内の空気を入れかえするため、運転席の窓を少し開けて言った。

「そうだな・・・・・・」
正和も、敦子に合わせるように、助手席の窓を少し開けて言った。

敦子が、コンポのスイッチを触った。


コンポから『Dear John 』の曲が流れてきた。

正和は、しばらくこの曲を聞いていなかった。
正和の中に、初めてこの曲を聞いたことを思い出した。


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