彼と彼女の方程式
予習



暖かな春の昼下がり。




やわらかな風がそっとあたしの頬を撫でる。




あたし、月島 遥(ツキシマ ハルカ)は学校の屋上でお弁当を広げていた。





隣でフェンスに寄りかかり青空を見上げて何かをボソッと呟く男。






『はっ?まっ…また??

っ…信じらんない!!!!』




耳を疑う一言にあたしは勢いよく、男を見上げた。





珍しく上手く焼けた卵焼きを口に運ぶ途中だった。



その勢いに箸から落ちた卵焼きは見事アスファルトと一体化した。




『あぁっ!!!…卵焼きがぁっ!!!』



せっかく上手く出来たのに…。



その原因となった男を再び睨んだ。



「なんだよ…その目は。俺のせいじゃないだろ?それは…。」



『…湊のせいだもん。びっくりする事言うから……』



あ〜あ…。
あたしの卵焼き…。



無惨な姿になった卵焼き。



「…諦めろって。」




そう言ってゆっくりあたしの隣に腰を下ろす。


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