彼と彼女の方程式


「ごめん、ごめん。
なんか久々に見たからさ。…遥が恋愛で悩んでるの。」



少し悲しそうな目をして笑う彩那を見て胸が痛んだ。


『恋愛、なのかな?』



彩那から目を反らして彩那の背後に広がる空を見つめた。



綺麗な青空。




「あたしは恋愛を希望します。」



『はっ…!!?』



彩那は青空バックに腰に手を当て自信満々ににっこり笑っていた。



なんだそりゃ…。


もちろん私は苦笑い。



「逢澤君は大丈夫だよ。
むしろアイツと一緒にしたら可哀想!!!」



『…彩那……。
……うん。あたしもそう思う。』



湊はアイツとは違う。



そんな事わかってる。



「遥、チャンスだよ!!!」


『…チャンス?』



いつの間にか目の前に座っていた彩那はあたしの両肩に手をおいた。




「そうだよ、チャンス!!
前に進む良い機会なんだよ!!!」




前に、進む。



『あたし、別に引きずってる訳じゃない…。』


…と思う。



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