彼と彼女の方程式
3年前、まだ中学生だったあたしは恋をした。
大好きな人がいた。
あたしより1つ上だった。
年上ってだけで、すごい大人に見えて憧れた。
出逢いは道で声を掛けられたのがきっかけだった…。
いわゆるナンパ。
まぁ、今思うと出逢いからしてちょっとどうなの?って感じだったけど…。
でも、嫌いな顔じゃなかったから…っていうか整った顔してたんだ。
面食いって訳じゃないけど…やっぱり嫌な気分にはならなくて…。
顔を赤くして照れたように話掛けてくる彼を見て好感を抱いた。
程なくして彼と付き合い始めた。
優しくてカッコ良くて自慢の彼だった。
そんな彼にあたしは見事に騙された。
まだ、まともに恋愛と言えるような恋愛なんてした事なかったあたしはとにかく必死だった。
高校生の彼は大人で、会うたびに距離が開いていくようで…不安だった。
でも必死で不安を見せないように彼と釣り合うように背伸びした。
彼の望む事は出来る限りやった。
すべて捧げた。
あたしは目の前の事に一生懸命で何にも見えてなかったんだと思う。
最初から気持ちなんてなかった、遊びだった。
付き合うと次第に気持ちの温度差を感じる事があると聞く。
最初にそれを感じた時はこれがそうなんだと思った。
だけど、最初からそんな感じる程の気持ちなんて彼にはなかったんだ。
最初から最後まであたしの独りよがりの気持ちだけ。
彼にはちゃんと愛情を向ける相手がいた。
彼の沢山の愛情を受け取れる彼女という存在が…。