気まぐれお嬢様にご用心☆
そして訪れてしまった学園祭初日。

「この初日を切り抜ければあとはどうにかなるハズだ……多分」

今の俺は自分で自分を慰めることくらいしかできなかった。


「ぅわっ!!」

「あっ――びっくりした、楓か。脅かすなよ」

「ふ――ん。その恰好、結構似合ってるじゃない。やっと本来の『男』に戻れたってとこかしらね。こっちとしては無駄な手間が省けるってもんよ」

――手間?

「お前に誉められても全然嬉しくない」

「あっそ……いいのかな~そんなこと言っちゃって」

こいつも翔さんと同じく俺を脅す作戦か?

「誰かさんみたいなぁ!!人の弱みにつけ込むなんて最低なんだぞ」

「もうつけ込まれたって感じね。まぁ、でも千晶の場合はつけ込まないとダメなのよ」

「?」

「ハイ」

――チラシ?

彼女に渡されたそこにはデカデカと以下の文字が記してあった。

『校内!男装コンテスト!!』
今年もこの日がやってきました。
学園祭最終日(十六日)に体育館の特別ステージにて開催!!
時間:十六時~

栄えある美少年、ナンバーワンは誰の手にっ!!

主催:清華女子学園高等部 生徒会
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