あの音が聞きたくて
「キンキン、カンカン」

リオンが箸で食器を叩く音が響く。

「コオラ、行儀悪いでしょ!」

麻衣と健治が注意するが、
リオンはなかなかやめようとしない。

無理もない。食器を叩く音が
リオン自身によく聞こえてくるからだ。

そのことは、健治と麻衣も分かっている。

本当なら、許してあげたい所だが、

ここで躾をしておかないと、
彼がこの先、保育園や
小学校へと進んだときにところだが、

恥ずかしい思いをさせることになる。

「コォラ!いい加減にしなさい!!」

麻衣がリオンの肩を掴み、
大声をあげると、リオンは泣きそうな顔をして
食器を叩くのをやめた。

このやりとりは、この先
何ヶ月間も食事中に行われることになる。

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