運命のヒト
「あ~ぁ、キスの一つでもしとけば
 よかったな・・・」

俺は、さっきの出来事を思い出しながらそんなことを呟いた。


「何やお前、何もしてなかったんか!?」

驚いた様子で、健二にそう聞かれた。


「そんなすぐ手ぇ出せるわけねぇだろ!!
 それに、あいつのことは大事にするって
 決めてたしな・・・」

「お前、見かけによらず日本男児やな!!」

健二がいつもの笑顔でそう言った。


「は?意味分からねぇけど・・・」

「ホンマに何もしてなかったんか?」

そこ、何回も聞くとこかよ・・・。


「まぁ、抱きしめたことはあるけどな・・・」

恥ずかしげもなく、俺は何を言ってるんだよ。

「優士、お前それ、十分手出しとるぞ・・・」

「うるせぇよ!!」


健二、俺のことが羨ましいんだろ?

ちょっと、優越感を感じる。


だけど、今は抱きしめることが出来ねぇ。

手を繋ぐことすら出来ない。

俺らは、別れたから・・・。



あいつは今も指輪を大事につけている。

ネックレスとしてだけど・・・。


あいつを見かけるたび、ネックレスにしている指輪を確認してしまうクセがついた。


今日も、確かに俺らの指輪はあった。

今はただ、あいつを守る意味で、俺達は離れてるってそう思ってもいいよな?


お互いにちゃんと想い合ってるって思ってもいいんだよな?


俺はそう信じてるからな・・・。



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