運命のヒト
それから、卒業に向けて卒業式の練習が始まった。


俺達も最初はサボっていたけど、練習に顔を出すことにした。


出席番号に並んでください・・・。

「めんどくせぇな~」

健二が文句を言いながら自分の場所に並んだ。

俺も自分の場所に向かった。


「・・・マジで?」

なぜか俺の隣には・・・。

俺の異変に気付いたのか健二もやって来た。


「マジで?マジで?」

俺は、止められなかった。


俺の隣にはあいつがいたから・・・。

これは、奇跡だろうか?

桐島優士と水嶋桃子だぞ??

どう考えたって隣に並ぶはずがねぇだろ。


いろんな奴がサボっていたこともあって、俺らは奇跡的に隣同士になったみたいだ。


入場練習。

俺は嬉しくてたまらなかった。

横を見ると、水嶋がいる。

こんな近くに、水嶋がいる。




「お前態度に出しすぎや!!」

「つい・・・」


練習を終えて、俺と健二はいつものように下駄箱でたまる。


「桃子、気まずそうにしとったぞ?」

「分かっとる・・・」

そうなんだよ・・・。


あの時、水嶋は確かに気まずそうな顔をしていた。


だけど、俺はそんなことより、あいつと隣に並べたことが嬉しくて仕方なかった。


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