残酷なラブソング


「店長、改めて紹介するね。

彼女が谷澤美桜さん。」


「はじめまして!」



店長は、フンフンと笑顔で頷いた。


「私は店長の佐木誠です。

君みたいな綺麗な子がうちで

バイトしてくれるなんて

嬉しいなぁ。」


君島さんも安心したように

店長の横で笑っている。




私、バイト決定?




「さて、本題だが。」


「あ、はい!」


「時給は950円だ。

国立大生だから少し頑張ってみた。」


おちゃめにハハハと笑って、店長は私に

真っさらな履歴書を渡した。


「一応書けるだけ今書いちゃって。

学歴はいらないから、ここだけ。」


私は、君島さんに渡されたボールペンで

氏名、住所、年齢を記入すると、

店長に渡した。


「美しいに桜か。

いい名前だな。」


「あ、私も気に入ってます。」



店長は目を細めて笑った。


店長って目を細めると、

啓太君にそっくり・・・・



「とりあえず明日から

大丈夫かな?」




「はい!!」









その後、店長がパンの生地が

どうとかなんかで

私と君島さんはその辺で

おいとました。




「ごめんね、無理に。」


「楽しみだよ?意外に私」



寮に着くと君島さんは

支度の続きがあると言っていたので、

私が無理矢理、家に帰らせた。


君島さんは私の方を振り返るたび

ごめんね、と頭を下げていた。




君島さんは明日、岩手に発つ。






時刻はまだ10時。


足元に転がる石を蹴り上げて

その軌跡を目で辿った。





私、明日発つ君島さんに、

明日からのバイトが楽しみだと言った。



それを思い出すと、

また無性に石ころでもいいから

蹴りたくなった。



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