残酷なラブソング

「手、濡れてるから・・・・」


これじゃ、どっちが年上かわからない。

「は?手?」


「・・・うん」


啓太くんは、ハハッと笑って

私の脇に腕を入れて持ち上げた。



それは、すごくあっという間の

出来事だった。


「免疫なさすぎ」

未だ脇を抱えられたままの私。

「だって・・・!」


顔が熱い。

男の子ってこんなに力強いんだ。


「立てる?」

私を心配するように啓太くんは
顔を屈めて、私の顔を覗き込んだ。


「立てるよ?」


当たり前じゃない、と私は

啓太くんの腕から離れた。


心臓が異常な心拍数なのと、

膝が乙女チックにくっついてる事以外に

おかしい所はない。


だからなぜ心配されているのか

分からなかった。


「そっか。ならいいけど。

ずっとしゃがんでたから
男の裸見て腰抜かしたのかと思った」


そう言って意地悪く笑った彼は、

カーテンの向こうへ消えた。






「はぁぁぁ〜・・・・・」


ドキドキした。

啓太くんの言った事は、
まんざら嘘でもない。

本当に腰抜かす寸前だったから。



啓太くんの嫌味にさえ、

ドキドキしちゃってるし。




私、大丈夫かな。



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