犬神さまのお嫁さま

　わざわざ夏休み初日に冷房も効いていない学校に来たのは家に居れば希彦と顔を突き合わすのがイヤだから。

　そして学校に来れば２学期の文化祭準備に来ている菜穂に愚痴れるからだ。


　だけど愚痴ってみれば冒頭の言葉で返された。


　「アイツが勝手に家に転がりこんでついでに私のベッドにも転がり込んできたの！私の了承無しに！！」


　うん、間違いない。私は自分で言ってその説明に納得する。

　この説明なら誰もが納得するはず！


　渾身の力を込めて菜穂に説明すると「ふぅん」と相槌を打ってくれた。

　その反応に私は胸を撫で下ろす。


　ああやっぱりちゃんと言えば納得してもらえるし、菜穂は常識人だもんね。
　流石クラス委員長！


　私はそう思いながら内心ガッツポーズを取っていると目の前にいる奈穂は何か思い出したように「ああそうそう」と漏らして続けた。