犬神さまのお嫁さま
 どうやら回りから聞こえてくる話し声もその転校生の話ばかりだ。

 まぁ1学期もそろそろ終わるしクラス自体も馴染んできたから転校生が来るってのは刺激的なのかもしれないけど。



 「で、こんなタイミングで来るって事はイケメンの可能性高くない?」

 「はぁ?なんでよ?」

 「だってお約束的にイケメン転校生がやってきて淡い恋が芽生えるとか王道っしょ?」



 そう言って目を輝かせる美沙都に溜息を吐いた。



 「そんなご都合主義全開な展開あるわけ無いでしょ」

 「そうでもないわよ。実際転校生は男子だし」



 私が『ご都合主義』の一言で片付けると思わぬところから拾われた。

 凛とした鈴のような軽やかな声に振り向く。

 私の斜め後ろ、美沙都の後ろの席の菜穂が割って入ってきた。
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