愛なんて存在しない
「サンキュ、助かった」
「どーいたしまして!」
「あれ、虎空と橘って仲良かったっけ?」
茎本がうちと麻己君を交互に見て首をかしげる
その瞬間…
―――ポン
「今日から仲良くなったんだよ」
麻己君の手が、うちの頭にのった
突然の事に固まってしまったうちの様子には気付かず、麻己君はそのまま頭を撫でてくる
「な、橘!」
その明るい声で我にかえったうちの頬は、みるみるうちに赤くなっていった
「ん?橘、顔赤いな
風邪ひいた?」
「ひ、ひ…ひいてないデス…!」
「なんで敬語なんだよ」
熱くなった頬を冷まそうと手で顔を扇ぐうちが面白かったのか、麻己君は笑顔を浮かべる
その時、麻己君の後ろにいた隆弥の手が麻己君の頭を掴んだ
「虎ー空ー」
「いでででで!!」
頭からギリギリって効果音が聞こえそう…
「あのなぁ、桔梗は男の友達はたくさんいるけど、スキンシップとかは慣れてないの!」
「ちょっ…隆弥!
大声で言うな!!」
「す、すいませんっした…!」
隆弥は麻己君の謝罪の声を聞くと、パッと手を離した