冬うらら2

 もしも。

 ソファで眠ってしまったのがカイトだったら、自分はどうするだろうか。

 お手洗いから帰ってくる途中、そんなことを考えた。

 帰る途中と言っても、ベッドまではそんな距離はないので、すぐに到着してしまうのだが。

 彼を抱いて運ぶなんて出来ないから、起こさなければならないのだろうか。

 現実のカイトはベッドの上なので、起こさないようにそっと布団をめくると、中に潜り込んだ。

 でも、ソファに眠っているカイトも、何だか起こすのは忍びなかった。

 だからと言って、彼だけソファで、自分だけベッドというのはイヤだ。

 となると。

 シミュレーションの中の、ミニ・メイは、ベッドからずるずると毛布を持ってくるとカイトにかけて。

 それから、自分もソファの隣に座って、一緒におやすみしてしまった。

 ミニ・カイトと並んで、ちんまりとおさまってしまったのである。

 同じ毛布の中に。

 何、考えてるんだろ。

 自分の、シミュレーションもまた恥ずかしい。

 この、寝ぼけた頭がいけないのだ。

 とりとめがなくて、それでいてコントロールが効かないのだ。

 何だか、酔っている時のようだ。

 早く眠ってしまうに限る。

 メイは、目を閉じようとした。

 なのに。

 ちらっとカイトの方を見る。

 彼との間に、少し距離があった。

 布団の中は十分温かいので、これくらい距離があっても何の問題もないのだが。

 それでもやっぱり、離れて改めて眠るというのは、少し物寂しい。

 起きない、よね。

 メイは、気配を伺いながら、そっと彼の方にすり寄った。

 もう15センチ近づく。

 ふとしたはずみに、指先が触れ合ってしまうくらいの距離。
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