走り出せ、コスモス*
1時間くらいして、先生は帰ることになった。
見送りといいつつ一緒に外に出て、近所の土手を歩いた。
今日の空は灰色。
まだ昼間なのに、雲のせいで薄暗い。
「ねえジェントリフィケーションって何?」
「ああ 高級住宅化っていうボストンの政策で、
生活費がバっカみたいに高くなったんだよ」
へぇ~~
てか
留学してたんだ……
「お父さんと話合ってたね」
「うん
あんなに地理とか政治とか話せる人珍しいよ
俺は吉木先生とか
社会の先生とよく飲みに行くから知ってたくらいだけど
お父さん詳しすぎでしょ」
「テレビっ子だからね
お父さん友達少ないからさ、仲良くしてあげてね」
「あはは 失礼~!」
先生は手を繋いでくれた。
先生と手を繋いで歩くのなんて初めて。
少し肌寒くなってきたから
先生の手があったかくて気持ちいい。