走り出せ、コスモス*
「すごい嬉しいな…」
先生は前をぼんやり見て言った
「まさか認めてもらえるなんて、想像してもなかったから」
「…うん」
私は、お父さんやお母さんは賛成してくれると思ってたし
先生のこと大好きになると思ってた
だって 先生だもん
でも先生は
何を言ってもずっと
「認めてもらえるわけない」って態度を変えなかったよね
それは
歳の差とか立場とか考えて
私を受け入れてくれたから
責任とか…
感じてるのかな
「幸せにできてない」って言ったけど
先生に初めて抱きしめられたとき
「頑張る」って 先生は言った
何のことか分かんなかったけど
なんか今
分かったかもしれない
「沙枝ちゃんの言うとおりになったね」
先生は立ち止まって
土手沿いの低い柵に腰掛けた
「実はさっきからぼやーっとしててさあ…」
先生は、頭を横に傾けて下を見ていた
ぼーっとした
こんな顔の先生初めて見たかも
何を考えてんのかな…