走り出せ、コスモス*



「もしもし?」

「も、もしもし!」

私は焦って、すごい声を出してしまった。

「はは。沙枝ちゃんだ~ ぽいゎー」


えっ?私っぽいって…

私、いっつもドタバタしてるって思われてるの!?

がーん…


子供っぽいって、思われてるのかなぁ

8つの年の差があるのは事実だし、やっぱり、お子ちゃまなのかなぁ…


「ごめんごめん」

先生は笑ってた


「可愛いなぁーと思って」


ずるい… 先生はいつもそうやって


「久しぶり 声聞けて、嬉しいよ」


知らないんでしょ

ちょっとした言葉で、私は簡単に地獄にも天国にも行っちゃうんだってこと



私も、声聞きたかった

言いたかったけど、恥ずかしくて言えなかった


窓の外を見ると、きれいな夕焼け

「先生空見える? 夕焼けがきれい」

「あ、ちょっと待って」

シャッて音がした。カーテン開けたのかな?

先生の部屋を想像してみる


「うわ~ ホントだきれいだねー」

他愛ない会話

だけど、それが死ぬほど嬉しい


私はこの奇跡に酔いしれた


「先生今日何してた?」

「うーん…。俺はいいよ」

いい…の? 何なんだろ


「沙枝ちゃんは何してた?」

「勉強かな 後期補習の1日目テストだから」

「そっか うーん」

「…先生は?」

「うーん…」

「……」

やっぱ話さないんだ

なんか私ばっかしゃべってない??

やだ

ね、先生もなんか…


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