悪魔のいる教室
悪魔が言ってる事がいまいちわからない。

けど、悪魔が私に怒ってるって事だけは声を聞いた瞬間わかった。


見上げた先には、私を視界に入れようともしない悪魔の横顔。

暗いからどんな表情をしてんのかは、見えない。


「竹田がこっち来る度、勉強教えろとかぬかしやがって。こっちは迷惑してんだ」

「…………」

「嫌いならてめぇでなんとかしろや。俺は関係ねぇ」

「…………」

「わかったなら、もう授業中話し掛けてくんな」


悪魔が投げつける静かな怒りは、切れ味抜群のナイフのようで。

心をズタズタ突き刺す。


痛すぎて声も出ない。

代わりに、喉の奥から熱いものが込み上げてくる。


……別に、そんなつもりじゃなかった。

ただ私は、辛くて、……助けたくて。


行き場のない想いが、息苦しいくらいギュウギュウにぶつかり合う。


悪魔の言葉、声、雰囲気。

全てが私を嫌悪してるように感じた。


「……なん、で……」


『わかってくれないの?』
そう言いかけて、やめた。
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