悪魔のいる教室
バカだ。

直前になんなきゃ気づかないなんて。

本当に、大バカだ。


「……佐久間くんは、タケティーと仲良いよね」


なるべく明るい声色で。
なるべく自然に。

話の雰囲気を変えようとした。


ここで悪魔が『そんなんじゃねぇよ』とか適当に返してくれば、そこでこの話題は終わり。

ってか、終わらせる。

そうでもしなきゃ私……“普通”を保てる自信、ない。



住宅街を離れると、辺りは一気に寂しい黒に覆われた。

ぽつんぽつん、と等間隔に淡い光を灯す街灯。

2人分の足音が自棄に大きく響く。


私は少し俯いてて、悪魔がこっちを見てるような気がして、頬がチクチク痛む。

こういう時髪が長ければ顔が隠れるのに。

もしかしたら見てないかもしんないけど、恐くて確認できない。


「……お前、俺まで巻き込むな」


冷たい声が、響いた。

それは1つ目の街灯を通り過ぎ、闇へ足を踏み入れた時だった。


「お前の意見、押し付けんじゃねぇよ」

「……押し付け……?」
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