悪魔のいる教室





全速力で階段を駆けあがる。


体操服姿で校内をつっ走る私を、すれ違う生徒が物珍しげな目で見る。


しかし気にしてる暇はない。

あと数分で5校時目の体育が始まってしまう。


『教室に体育館シューズ忘れてくるなんて、バカだねぇ〜』


涼子の言葉が脳裏によみがえった。


あぁ、どうして
体育館の更衣室で着替えを済ませるまで気づかなかったんだ。



「ゼェ、ゼェ、ゼェ……」



電気のついてない薄暗い教室。

机にポンポン放り出された、男子の黒い脱け殻たち。



──予定では。

転がるように教室に駆け込んで
机の横に掛けてあったシューズを引ったくって
走って戻るつもりだった。
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