悪魔のいる教室
「隆斗は、中学ん時の俺の後輩だよ」


部屋に入ってから数分後、元ヤン・タツ兄はサラリと衝撃の事実を口にした。


初めてお邪魔したタツ兄の新居は寂しいくらい殺風景で、家具はテレビ、ベッド、小さなテーブル、冷蔵庫くらいしかない。

部屋の隅に積み重ねられた段ボール箱が、この部屋に引っ越してきたばかりだという事を物語っている。


物が少ないのになんとなく窮屈に感じるのは、部屋が狭いせいだけじゃなく……テーブルの前で呑気におにぎり食ってる、この無愛想包帯男のせいだ。


……ってか、私いるんだから上くらい着ろよ!!


「またの名を、俺の子分」

「しばくぞ」


こもった声ですかさずすごむ、露出魔隆斗。


「てめぇ、それがわざわざ飯買ってきてやった先輩への態度か?」

「俺は正直なんだよ」


先輩後輩って雰囲気をちっとも感じさせないやりとりは、乱暴な口調ながら、気抜けするくらい穏やかな空間で。


先輩は敬うもんだという常識を知らないらしい悪魔を、2つ年上のタツ兄は怒る事無く、むしろ楽しそうにクツクツ笑ってる。


……驚いた。

タメならまだしも、タツ兄にこんな言い草かます後輩を、私は初めて見た。
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